出産の仕方には選択肢がある。

佐賀からつくばへ引っ越し、結婚をして、まもなく妊娠。

1人目はとくに悪阻も軽く、比較的、元気な妊婦さん。

出産は、なんの迷いもなく、実家の佐賀県で里帰り出産のつもりで、出産までの間、近所の産婦人科で見てもらうつもりでした。

しかし、知人の助産師さんが、「出産には選択肢があって、病院ではなく、助産院で自然分娩という方法もあるんだよ。」と教えてくれました。

赤ちゃんとは、自然に勝手に生まれるものだと思っていた私は、わかったような、分からないような。そして、運よく、自然分娩ができる助産院が、近くにあったんです。

その助産院は、『ベビーヘルシー美蕾」。当時、70歳過ぎのパワフルなおばあちゃん先生、瀬井房子院長。早速、見学へ。

すぐに「ここで産みたい!」と思い里帰り出産をせずに、つくばでお産することにしました。

生きている証拠!

お産のこと、産後のこと、子育てのこと、全てが初めてで分からないことだらけ。不安も心配もたっくさんありました。

そして、お腹が大きくなるにつれて現れる、様々な不定愁訴。恥骨、股関節まわりの痛み、腰痛、尿漏れ、吐き気、腹痛・・・。身体の変化に驚く毎日でした。

初めての妊娠ですべてが不安な私は、妊婦検診で瀬井先生に、あんなことやこんなこと、色んな身体の変化や不安を聞いてもらいました。先生は、弱気な私に一言! 「全部、生きてる証拠!生きていれば、色んなところ痛くもなるわよ。」と。

そして、一番驚いたこと。

『妊娠は病気ではないから、しっかり身体を動かしなさい!』と言われたこと。

妊婦さんは、安静に!と思い込んでいた私は、動いていいんだ!いや、むしろ、動いた方がいいんだ!と、度肝を抜かれました。先生に言われた通り、大きなお腹でよく歩き、よく動きました。

男性が父親になる準備期間。

そして、妊婦さんの運動の大切さを痛感したトツキトウカ。陣痛が来るまで、筋力体力を維持する意味も半信半疑でした。

予定日よりも2週間遅れて陣痛が来て、旦那さんの付き添いで24時間かかって、第一子を出産。

促進剤などの力を借りずに、自分の陣痛の力を使って産むのが自然分娩。自然の力を使って、自分の力だけで産むというのは、どんなに壮絶なのかをしった初産でした。

狭い産道を24時間かけて切り開き下りてくる赤ちゃんに負けてはいられない。陣痛を起こし、ぐんぐん出ようとしてくる赤ちゃんをそっちのけで、途中で諦めることも無理。

あとは、体力勝負、筋力勝負でした。瀬井先生が、口癖のようにおっしゃった運動の意味がよくわかりました。そしてこうやって母は強し!になっていくのだと思いました。

そして、長男が生まれた後に感じたこと。

旦那さんは、次第に大きくなるお腹や、必死に出産をする姿を間近で見ることで、男性も少しずつ『お父さん』になっていくものなんだということです。

瀬井先生に初めてお会いした時に、「旦那さんのために、里帰り出産はせずに、つくばで産んだ方がいいよ」と言われたその言葉の意味は、とてもよくわかりました。

実家で産んでいたら、そんな実感のないまま、いきなり赤ちゃんを連れて帰ってこられて、旦那さんはなかなか育児になじめなかったかもしれません。

夫婦喧嘩も絶えなかったと思います。男性も女性も、親になるには、少しずつ経験を積んで、親になっていくんですよね。

助産院で親子ビクス♪

そして、長男が産まれて4か月くらいしたころ、瀬井先生にお声がけいただき、助産院でエアロビクスのレッスンをさせていただくことになりました。

私は長男を連れて、参加者のみなさんも、赤ちゃんと一緒にご参加のママたち。そして、妊娠中の運動の大切さを痛感した私は、妊婦さん向けのエアロビクスの資格も取得しました。

私はいつもワンパクな長男を連れて、妊婦さんや産後のママに向けて、ワンコインでレッスンをスタート。

みんなで赤ちゃん達を見守りながら、身体をしっかり動かして、レッスン後には、みんなでお弁当を食べたり。孤独になりがちな子育て時代。私自身、そのレッスンがなかったら、家の中に引きこもっていたと思います。

ママ友と一緒に育児の不安を分かち合、子供たちの成長を喜び合えたとてもありがたい時間でした。

そして、ふと気がついたのです。社会人1年目で悟った『好きな仕事をしながら、子育ての時間も大切にしたい』という願い。

ちゃんと思ったように叶っていました。あの時、先輩を見ながら、自分のこととして人生を考えてよかったって思いました。

男女平等とは言っても、やっぱり、女性が仕事も家庭も両立することは、並大抵のことではありません。

一番大切にしたい子供との時間。現実に卑下せず、今自分が幸せに感じる選択をする。お母さんになっても、自分を犠牲にしない生き方って大切だと感じます。

そして、その後の産後リアルはつづく・・・。